1982年の秋
人類は死滅した
南極大陸に 863人の人間を残して──
一体 なぜ こんな事に──?
こんなプロローグで始まる映画がある。
インフルエンザなんて既知のウィルス性疾患であっても新種が猛威を振るえば人類はまだ死の危険から免れることはできない。ましてやパンデミックが全世界同時に起こったら?
そんな恐怖がリアルになってきた昨今、アテクシが思い出すのは日本SF小説の巨匠、小松左京が執筆し、後に角川映画として実写化された映画「復活の日ーVIRUSー」だ。
この「復活の日」は小松左京原作、深作欣二監督によるパニックSF作品。公開は1980年6月26日。
ストーリーの要となるのは南極なのだが、「それじゃ行きますか、南極へ」ってことで本当に南極ロケを敢行した気合いの籠った作品だ。
実はこの作品は邦画で一番好きな作品だけれど、「あまりにも長い」「あまりにも暗い」ので、自分と映画の好みが近い人にしかオススメしていないw
ストーリー(ネタバレします。未見の人は飛ばして下へ進んで下さい。)
* * * * *
1981年、新種ウイルス創造のための遺伝子工学的実験研究はすべて世界的に禁止された。だが─。
アメリカ、ソ連が宇宙開発戦争のただ中にあった時代。NASAが偶然に宇宙空間から採取した細菌の研究が極秘裏に進められていた。MM(マーシャン・マーダラー─火星の殺人者)シリーズと名付けられたその菌は大気圏下で圧倒的な増殖率を示し、兵器としての転用が期待されるも、弱毒化もしくはワクチンも開発できないといった特性上、諸刃の剣となりうる可能性があった。弱毒化するためのウィルスの研究過程で菌の世代が88代目まで到達したとき、誕生したMM-88は前代のMM-87の2000倍の毒性を持つに至った。MM-88をかろうじて無力化するには、マイナス10°以下で保存し、ウィルスの活動を止めるしかなかった。
これを危惧したアメリカの科学者は、スパイを通じ、MM-88をチェコのウィルス研究の権威者に渡す様に画策するが、そのスパイとウィルスを載せた飛行機は冬の悪天候と乱気流により、アルプス山脈に激突してしまう。
春になり、イタリア近郊で家畜や子供が発病し始め、その災禍はたちまち世界各国に蔓延していった。人々はそれを発生地からイタリア風邪と呼んだが、インフルエンザのワクチンも当然効力はなかった。
MM-88研究者のひとり、マイヤー博士はこの惨事が起こる事を予見していたが、MM-88が極秘計画であること、ウィルスがアメリカの細菌兵器であること─の発覚を畏れた軍は博士を精神病院に収監してしまう。
世界の人口は季節が暖かくなるにつれ激減していった。被害を免れた国は一国としてなかった。
南極、昭和基地では各国の調査隊と連絡を取り合っていた。そして得られたのは何か今までとは違うウィルスによって、日本だけでなく世界中が壊滅状態にあるという事だけだった。
アメリカ大統領とて例外ではなかった。もはやホワイトハウスには彼ともう一人の議員だけが出庁していた。
「もう少し時間があったら。マイヤー博士の最期の言葉だ。」
「雪が降るといい」
「なぜ?」
「ウィルスの活動を抑制できる」
「今は夏だ、雪が降る訳は無い」
「!?・・・パーマー基地だ!」
大統領は南極のパーマー基地、コンウェイ提督に連絡する。その言葉は南極に駐留する各国の調査隊にも放送された。
「諸君らは決してその聖域を出てはならない。ウィルスが死滅する日まで、故国へ帰ってきてはならない・・・」
かくして、南極で生き残った人々によって、小さな政府が樹立された。
1年後。英国潜水艦ネレイド号は各国のウィルス生存状況を確認する航海から戻った。
MM-88は未だに、死者しか居ない世界で猛威を奮っていた。
一方、日本の調査隊隊員、吉住周三は南極で地震予知理論を研究していた。その結果はアメリカ東海岸側で大規模な地震が発生するという結果を導きだしていた。研究は同室の米国軍人カーター大佐によって首脳陣に公開された。
アメリカはARSという核ミサイルによる自動報復ミサイルを持っている。もしワシントンが核攻撃にさらされた場合、報復として核ミサイルがソ連各地を襲う。ソ連側もARSを持っていて、アメリカ側に報復を開始する。
ロシア基地の軍人がこう語る。「南極のパーマー基地もソ連ARSの攻撃目標になっている」と。
* * * * *
と、2時間くらいかけてここまで描いているのだが、ディテールが細かいのに驚かされる。正に金に糸目を付けず、というのはこの事。制作費は25億円かけたということなので、随所にその片鱗を見る事ができる。
日本のパニック状況も描かれている。自暴自棄になって盛り場で踊る若者。見えざる神に祈祷する宗教団体。子供を病院へ運ぶ母親。その医師ですら次々に倒れて行く。戒厳令が布かれ、街は人々の死体の山で溢れかえる。自衛隊員がその死体の山を火炎放射器でひとつひとつ炎上させていく。
この先どうなっちまうんだ!?の連続で、最後まで引っ張っていけるのは演出、脚本、撮影の三拍子が揃って良く出来ているからで、全編2時間30分で充実した視聴タイムを味わえる。
この映画の公開時のキャッチコピーは、
「神が仕組んだ壮大なドラマ」
というものだったが、ラストに向かって「ええ、こういう風に繋がっていくのか!」と驚愕の展開を見せるあたり、誇張のあるコピーではない。寧ろ控えめなくらいである。
ぜひ未見の方には見てもらいたいが、なにせ長くてリアルな絶望感を感じること請け合いなので、大袈裟だけど覚悟を決めてからの方がいい、とは思う。
特に豚インフルエンザの静かな恐怖が現実にある今なら、そのリアルさがありありと分かるんじゃーないですかね。
原作もぶ厚くて、読み応えあります。これが1964年の作品だなんて。
小松左京は凄い。
バカな文:壬生映「Life is wonderful」
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posted by Dyon at 20:30| 神奈川

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